「ねえ、雫ちゃん。どうしたらいいと思う?」

私は仮縫い状態のウェディングドレスの生きたマネキンとして、両手をあげ、棒立ちになりながら、仮縫いに付き添ってくれた雫ちゃんに尋ねた。

「どうと言われましても……」

伊織さんとのベッドでの攻防戦を赤裸々に話すと、雫ちゃんは顔を真っ赤にしていた。

純朴な彼女には刺激が強すぎたのかもしれない。

モジモジとうろたえる雫ちゃんに対して、お針子さんとパタンナーの皆さんは、私達の話などお構いなしに安全ピンやら、しつけ糸をドレスの生地に刺していった。

結婚式で着用する予定のウェディングドレスはまだビジューもレースもなく、布切れを張り合わせたようなシンプルなものだ。

これから結婚式まで4か月後かけて、刺繍を施し、ビジューを縫い付け、レースを編み上げるのだ。