寝てしまったものを起こすわけにもいかず、私は伊織さんに背を向けるようにしてベッドに横たわった。

さすが伊織さん。そんじょそこらの男とは違うってことよね。

そうこなくっちゃ。望むところよ。

ここで簡単に手を出してくるような不埒な男性だったら、私は伊織さんを好きになっていない。

(燃えてきたわ……)

伊織さんに袖にされてことによって、逆に闘志がメラメラと湧いてくる。

南城家の人間はもれなく全員逆境に立たされると真価を発揮するタイプなの。

雫ちゃんが迫真の演技で作ってくれたこのチャンスは絶対に無駄にしない。

配管工事が終わる10日の間に絶対に伊織さんと既成事実を作ってみせる!!

私は固く決意すると、明日への英気を養うために早々に眠りについたのだった。