「……行こう」

北斗の手を包み、雫は微笑んだ。



パーティーは朝方まで続くのだが、抜けたい人は自由に抜けてもいい。雫と北斗も九時にはパーティー会場を出て寮に戻っていた。

北斗はスーツから着替え、お風呂に入り、ベッドの上に横になる。

パーティーは、とても楽しいものだった。まぶしいくらいの光に包まれ、雫と踊り続けた。

「ダンスは、自分の好きなように踊っていいんだよ」

そう雫が言ってくれたおかげで、北斗は自分なりにダンスを楽しむことができた。

踊る雫は、一段と大人っぽく美しかった。まるで多くの神々を虜にしたアフロディーテのように、人々の視線を雫は惹きつけていた。

ベッドの上で、北斗は天井を見つめる。体は疲れているはずなのに、全く眠くない。

時計を北斗は見る。十二時。シンデレラの魔法が解ける時間だ。

北斗はパジャマから私服に着替え、屋上へと向かう。雫に呼ばれている、そんな気がしたからだ。

北斗が思った通り、雫は屋上にいた。北斗の知らない曲を雪がちらつく中踊っていた。