仕事が終わるとアイを送り、急いで家に帰った。

アパートの鍵を開ける。

ドアノブを回すと閉まっている。

リョウ先輩どっか行っちゃった?

不安を胸にもう一度鍵を開け中に入ると、

「お疲れさん」

と台所に立っているリョウ先輩がいた。

「ちょっとー体調悪いんだから寝てなきゃダメじゃん」

荷物を置いて私も台所に向かう。

「それとどっか出掛けたでしょ?」

「あぁ、スーパーに」

悪びれもなくリョウ先輩は言う。

「あれだけ出掛けちゃダメって言ったのにぃー」

「冷蔵庫に何もなかったから仕方ないだろ」

トントンと一定のリズムを刻んで包丁を動かすリョウ先輩から料理の上手さが想像できた。

「連絡くれれば私が帰りに寄ったのに」

ほっぺを膨らます様に言うと

「料理作って待ってたかったし」

と私は嬉しくて思わず顔が緩んだ。