「不特定多数は不特定多数。１人の女とだけとか、俺無理だし」

ヤツもタバコに火をつけた。

「それって一般的に言うチャラい奴じゃん？」

拾ったタバコを再び吸う私。

「違うだろ。」

シレッとヤツは言う。

「いやいや、違うくないよ。チャラいよ、それ。」

「別にヤらねーしチャラくねぇよ」

「ふーん…エッチはしないんだ」

私はタバコを消しながら言った。

「チビっ子はヤってんだろ、リョウ先輩と。」

普通に言うヤツに少し腹が立った。

「そんなのしてないし！何言ってんのよ！」

イライラして再びタバコに火をつけた。

「手繋いで、付き合ってないとか俺からしたらそっちの方がよっぽどチャラい」

煙をはきながらヤツは言った。

"その事"を。

「な、何よ。アンタも手繋ぐでしょ？」

"その事"を言われてしまった私は少し動揺して言った。

「だから俺は不特定多数。手なんか繋がねぇし、繋ぎたいとも思わねぇ。」

「ねぇ…そんなに気持ちのない子と一緒にいて楽しい？」

心の底から感じた疑問。

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