「ユウ〜」

甘い声を出しながら、すらっと身長の高い女の人がヤツの腕に自分の腕を絡ませた。

「あれ?友達?」

ヤツに聞くヤツの彼女…?

「あー、仕事の先輩」

ヤツは相変わらずぶっきらぼうな返事。


「そうなんだ。初めて、カナコっていいます。」

すごく丁寧な挨拶をし、深々と頭を下げたカナコさん。

私も釣られて頭を下げる。

「ユウ、彼女かぁ?」

リョウ先輩はヤツにニヤニヤしながら言った。


「別にそんなんじゃないっすよ」

少し視線を下に向け、そう言ったヤツ。

その瞬間、私の手を握るリョウ先輩の手がギュッと強くなったような気がした。