君は僕のもの 【続】





ていうか!!


普通、一般的な漫画とか恋愛小説の場合。



彼氏が前々から実はこんなサプライズを考えてましたーっ、

みたいな。



あるよね?…あるよねっ!?



せめて、『誕生日おめでとう』って一言。


いつも無愛想で冷たくて、天然なんだか分からないけど掴み所がない樹だからこそ…

言われたらそれだけで、その言葉だけで嬉しかったのに。



あたしが求めてるのは、

ブランドのバックでもないし…服でもアクセでも無いよ?


ただ、ちょっとの。

樹からの“おめでとう”が欲しかったのに…



いつもより少しでも、優しくして欲しかっただけなのに。




「…なーのーにっ!!」

廊下でそう一人叫ぶ。


幸い人が少なかったのが良かったけど、だいぶ…不審者?



「……っ」

周りの視線がちょっと痛くなって逃げるように階段を駆け上がる。


いつもより頑張って一段抜かし。



…結構、キツいかも。