こ…!こんなの…っ。
虚ろな瞳のまま樹を見上げるけど、その顔には全く悪びれた様子がなくて。
そもそも樹にそんなのを要求するのが間違いかも…。
「美味かったよ、コレ」
あたしの唇を親指で拭いながら樹は言うとニヤッとお得意の表情をしてみせた。
反則だよぉ…!!
大体、こんな…同い年とは思えないっ。
ギュッと目を瞑ってそんなことを考えた。
「……っ」
片目だけチロリ。
薄く開けて樹を見上げる。
「ん?」
と短く樹は言うと、少し首を傾げた。
何となくだけど感じる…
樹の優しい雰囲気。
それに、あたしの髪を優しく撫でてくれる大きな手。
「……好き。」
っ?!?!
思わず自分の口を手で塞ぐ。
そして驚いたような樹の顔、けどそれもすぐ元通り。
恥ずかしさで慌てて自分の口を手で塞ぐあたしの指先に…
チュッと音を立てたキス。
「え…あ、今のは……っ」
赤面したまま焦るあたし。
「愛梨が悪いね。
…明日が休みで良かったじゃん」
クスッと笑いも交えた樹の声は耳元に。
うぅ…
満更でもないあたしは、なすがままな訳で。