きっと頑張ったんだろうし……
言い過ぎると泣くし。
俺の場合。
何かよく分かんないんだけど一言が凄くキツいんだとか、何だとか。
「えっとね…!
これは“生チョコ”っていうんだ」
……生チョコ
聞いた事はあるけど、食べるのは初めて。
そもそもチョコとかケーキとか、そういう甘い物にはちょっと無縁。
けどココアは好き。
ニコニコ笑いながら愛梨は言うと、『食べてみて』と急かすように俺の顔を覗きこむ。
思わずゴクリ…と生唾を飲み込んだのはきっと無意識。
美味しそうで今すぐにでも口の中に入れたくてっていう場合と、コレを食べろと言うのか?と言う拒絶を表す場合。
この二つのどちらか。
けど答えは言うまでも無く後者の方だったりする。
「…愛梨は味見した?」
一つ手に取りソレを眺めながら聞くと、
「うんっ!お父さんもね?形はアレだけど…味はピカイチ!」
と言いながら、ニッと笑ってピースサイン。
ふぅん…
なら食べても大丈夫だね。
でも最初に愛梨のお父さんが食べたって言うのは少し不服だけど。
そんなことを思いながらその“生チョコ”とやらを口に入れた。
「……。」
「ど…どうかな?」

