君は僕のもの 【続】





間抜けな顔をして『覚えてたんだ』なんて呑気に言ってくれる。


学校に居た単純にチョコを期待する男の気持ちはいまいち分からないけど…好きな相手からのチョコを期待する気持ち。

それぐらいなら分かる。



例えどんなに冷めた奴でも、…多分きっとね。


「思い出した?」

再び耳元で呟けば分かりやすい反応。


それに対して恥ずかしそうな素振りを見せながらもコクンと縦に頷く愛梨。

クスッと笑って俺はその愛梨の唇を塞ぐ。


「…っ……ん」

俺の肩を押さえる愛梨の弱い力。


一度深すぎない口付けをしてか一度チュッとリップ音をきかせて触れるだけのキスをした。


「いきなりは…ダメ、だよ!」

紅く染まった頬で潤んだ瞳で。


そんなこと言ったってなんの説得力にもなんないし、それにもっとキスしたくなるだけだっていうのに……


ブツブツ文句を言いながら起き上がる愛梨の顎を掴んでもう一度唇を近付ける。



しかし。


「邪魔なんだけど」

俺の口を塞ぐ愛梨の手。


「駄目!…今日は、ちゃんと樹に渡したいものがあって……来たんだよ?」


とにかく必死。

そんな感じで愛梨は言うとあのピンクの紙袋を再び俺につき付けた。