スッと手を伸ばして、その先にある愛梨の髪。
指を絡めれば指の間をサラッと通り抜けて、仄かにシャンプーのようなそんな香りがする。
それに俺は目を細めた。
「確かにこのイベントって好きじゃ無いけど」
その髪を通り抜けた指は少し赤い愛梨の頬に触れた。
熱いな……
対して俺の冷たい指が心地好いのか、愛梨も少し目を細めた。
「言わなかった?」
そんな俺の問い掛けに薄く唇を開いたまま。
「……へ?」
と、間抜けた声を出す。
愛梨のそんな様子を見て、あぁこの人は何も覚えてないのかも。
みたいな。
いつだったっけ?
クリスマスだっけ?誕生日だっけ?
…忘れちゃったけど。
「甘いのとか女とか…嫌いだけど。」
頬に触れた指をスーッと下に這わせるように動かして、愛梨の首筋に触れる。
すると…ドクドクと脈が感じ取れる。
「一つなら貰ってやるって、言わなかったっけ…?」
耳元でわざと囁く。
……ドサッ。
その瞬間、驚いた顔をした愛梨の身体は俺の手によって押し倒された。
「……う、あ…」
やっと思い出したのか愛梨はハッとしながらも顔をもっと赤くする。

