君は僕のもの 【続】

…樹side




我ながら本当に情けない。

こんな近距離にいるなら自分で声を掛ければいいじゃん。


なのにわざわざメールを送るところが、微妙に情けないような感じがする…んだよね。


あの人に返してもらった。っていうよりも勝手に無くなってて勝手に返されてたんだけど、俺の知らない間にあった着信。

それは紛れも無く愛梨からで…


ふぅん。


と興味の有る様な無い様な。



コンコン…。


「……。」

急に聞こえたノックの音にビクッと身体をさせてそのドアの方を見た。


別にわざわざ俺の部屋に入るのにノックなんてしなくてもいいような気もするけど…


「…い、樹?」

すると裏返った愛梨の声。


俺の部屋なんだから俺は居るに決まってるのに。



いまいち反応に困るよね。


「早く入れば」

フゥと聞こえる様な息を吐いてから、ボソッと言った。


「……う、う、うん!!入るねっっ」

何を焦ってるんだか。


するとすぐに控え目に床を見つめたままの愛梨がひょっこりと顔を少し出して、そのままゆっくりと部屋の中に入ってきた。