「で?」

思い切り両頬を親指と人差し指で掴まれて、唇を尖らせられてタコさんみたくなる。


それはそれは何とも情けない顔で……


「…へぇ?」

とあたしが間抜けな声と顔で言うと、樹は少しばかり眉を顰めて更にその摘まむ力を強めて、

更にグッと顔をあたしに近付ける。


「俺が何も気が付かないような馬鹿に見える?」

腰を僅かに屈めてあたしの身長に合わせる様に顔を覗きこむ。

伸びたまままだ切ってない前髪が、サラッと流れて猫のようなその瞳があたしを捉えて心臓がドキン…ッてする。


相変わらず、ドキドキが止まんない。


……ふぅ。

とりあえず呼吸を整えなきゃ!


そう思っても顔を動かすことも出来なくて、交わる瞳が熱い。


「……。」

「俺が寝ててそんなに良かった?」

えっ!?!?


それって……!


「おひへはのぉ!?!?」

目をパチクリさせながら言う。


するとそのまま摘ままれてた指は離れて、スルスルと自然にも首筋に指先が触れて撫でる様に動いた。


…んっ、

無意識に片目を薄く閉じて。顔を傾ける。



グイ…ッ!!


あ!

「…っ!?」

「許さないよ、そういうコト」