「どうすんのぉ…!!」
だんだんと減っていく教室の中で、情けない声を上げてあたしは美菜に縋りつく。
絶対怒ってたよぉ……
眉は八の字に下がったまま頼り無くなる。
「…どうすのって?何か問題でもあるのーー!?」
可愛いキャラクターの手鏡で自分のことを何度もチェックしながら、美菜はいつも通り足を組んで言った。
ていうか…そんなに、余裕?
「樹…怒ってたよ……きっとさ…」
『じゃぁね』とか『ばいばい』って言うんじゃなくって、『さよなら』って、さ。
絶対だよぉ。
……はぁ、
沈むよ本当にあたし。
「なーに?気にしてるの~??」
クスクス笑いながら、美菜はその手鏡を閉じて言う。
「気にしてるよ…そりゃぁ、」
あたし、何だかんだ樹中心だもん。
ていうか…樹のことばっか気にしてるんだもん。
うぅ…。
「気にする必要なーし…だってアレじゃん?
王子なんて毎日こんないい気分になってんだから、たまには愛梨がこういう思いしても悪くないんじゃん??」
「うーん……」
それはそうだけど、…樹は特別じゃんかぁ……
そんなことを考えながら濁った言葉を返したその時。
ガラガラ…ッ!
「…あ、えーと桐島さん?」
き!キタッ!!!!
カチンと固まったまま動かなくなったあたし。
それを面白そうに美菜が見てる。

