君は僕のもの 【続】

…樹side




「…た、たぶんっ」

愛梨の次の言葉を待つように、俺は黙ったまま愛梨の顔を覗き込んだ。


だけどそれ以上の言葉は口にしないで、黙ったままグッと下唇を噛締めて…俯いたせいか、前髪が掛かって目が見えない。

それでも小刻みに震え始めた愛梨の小さな肩を見て。


あ、……泣く。


そんな予想が出来てしまう。


「…っ……う…ぅ」

頬に触れていた筈の俺の手はパッと離されてて、見れば掌の甲を口元に当てて泣くの堪えてる。

やっぱり愛梨の泣き癖は全然直ってないみたい。


そっと手を伸ばして、その流れ落ちる雫を指ですくって……


「すぐ泣く」

フッと笑いを交えた声で言う、

スンッと何度も何度も鼻水をすする愛梨の顔といったら…笑える。


「…ふははっ」

面白くなって笑えば、何で笑ってるの?とでも言いたげな瞳が俺をひっ捕らえる。

けどやっぱりそんな顔をする愛梨が面白くて、クスクスッと何度も微笑にも似た声を漏らしてしまう。


「笑わないでよ…っ」

頬と鼻と目を赤らめた愛梨が拗ねる。


「別に?」

けど顔が笑ってる。


別に泣かせるつもりなんてこれっぽちもなかった。


今日だって自分の誕生日ってことすら忘れてて、…だけど、ていうかだからこそ全面的に色々“拒否”したんだけど。

それはもう、泣かせないように。


なのに結局……俺は何をしても、コイツを泣かせてしまうみたいだ。