「どうしたって…?」
「何か、変だった」
相変わらずな単語癖は直らないけど、冷たい返答に普通に答えてられるの人なんて…きっとなかなかいないだろう。
なんて、ね?
「隠し事」
…かくしごと?
頭の上に置いた手はスルリと滑り下に下がる。そしてそのままあたしの頬へといきついて、少しの間の留まりを覚えた。
「してるみたいだった」
グッと距離を縮めて、
反動的にあたしも顎を少しだけ引いて間近に狭まる樹の顔を見上げる。
「…た、たぶんっ」
伏し目がちにその視線から逃げると、思い当たる節を無意識のうちに口にしていた。
けど口にしようと思うとどうも口から出て行かない。
何よりあたし自身がそれを拒んでるような、そんな気がしてならない。
あたしがしようとしてた事は…
ファンクラブの子とか、他の女の子達と同じことで。
だからきっと樹はただでさえあんなに嫌がってたんだからきっと……きっと嫌に決まってる。
“迷惑”って…そう思われるに決まってるんだ。
……でも。
「…っ……う…ぅ」
その添えられた樹の大きな掌から逃げるように身体をずらして、口元を手で覆う。
この泣き虫な性格が嫌で仕方が無いよ。
けど…自然に零れてどうしようもなくて、止まらなくって。
そうすれば優しい樹の指がソレを拭ってくれた。

