冷たい風があたしと白井くんの間を流れて、
ゆっくりとその彼の表情を見ようと顔を上げようとしたその時……
─ドン…ッ!
肩を急に押されてグラリと身体が傾いたと思った時にはもう、背中には鉄のフェンスが思い切りぶつかっていた。
「…っ、……痛!」
背骨にガツンと当たったその鉄の棒が凄く痛いのと、
押さえ付けられた肩に籠められた力のせいでどんどん食い込む指と爪。
急なことに驚く半面。
こうなることも心成しか想像できてたのかもしれない。
……痛い…っ、
その痛みに顔を顰めて眉を寄せる。
「どの口が言ってんだよ!!…あ゛っ!?」
怒鳴り声と一緒にあたしの肩に押さえ付けられた手の力に強さがまた増す。
「…じゃぁ、どうしてあたしにちょっかい出したりするの?」
けどその痛みがあたしを少しだけ強くする。
思ってた、考えてた、そんな言葉を投げかける。…少しだけ震えて怖がるけど。
「……っ」
眉を顰めて何かを堪えるような表情。
けど言葉に詰まったのか、彼は何も口にしようとしない。
「似てるから…何でしょう?
……きっと白井くんはあたしと梓紗さんを重ねて見てるんだよ!!」
怖くて怖くて。
けどきっと怖くて怖くて悲しくて。
そんな瞳をする白井くんの気持ちはどんなモノなんだろう?

