大体あんなコンテストに出たせいで樹の人気は何倍も上がってさ?


しかもファンクラブまで出来たらしいし…

彼女のあたしとしては全然、嬉しいことじゃないし。ていうかかなり迷惑なことなんだよ!?!?



「だって皆さん揃って…『あの冷たさが半端な~い』だもんね?」


美菜は無駄にどこから出してるんだか何なんだか分からないような声で言う。



う゛……っ!!


…きっと嫌味だ、

確実に絶対に絶対に絶対そうだ!!



けど、

「だからこそ…心配なんだよぉ…」


さっきの若干強気な姿勢はサラサラと砂の様に消え去ってしまい、相変わらず俄然弱気のあたし。



大体あたしの弱気な性格は全くと言っていいほど変わってはいなく…

といってもあのコンテストから日もそこまで経っていないから仕方ないと言えば…仕方ないんだけど、さ?


でもでもでもっ!!!

今回は本当に…




「まぁ矢上に限ってそんなことないと思うけどね…

…あ、でもあれだよ?」


「あれ…?」

いつになく真剣っぽい表情の美菜に妙な緊張感を覚える。



すると美菜は自分がさっきまで使っていたフォークをあたしにグッと突き付けて…


「話しをはぐらかすことがあったら、それは何かを隠してる!!

…で、女と二人で会ってたらそれは、う・わ・きだからね」


と、

とてつもなく怖い顔で美菜は念を押すようにあたしにそう言った。