君は僕のもの 【続】





「…今日の放課後とか、時間ある?」

学校の玄関まで着いて先輩との別れ際で、そう聞かれる。


「あ、大丈夫ですっ」


だってきっと今日だって樹は『用がある』って何一つ表情も変えないできっと言っちゃうんだよ。

こんな寂しい想いをしてるもの。


こんな好きになっちゃったのも…もしかしたらあたしだけなのかな?


「愛梨ちゃん…?」

一人で考えこんじゃって。泣きそうになるギリギリの所で先輩のあたしの名前を呼ぶ声が聞こえてハッとした。


…危ない危ない。


「一人で抱え込んじゃ駄目だよ?

それと…」


そこまで言い掛けてから声が少しずつ消えて…

その言葉の続きを言う前に、


「王子いるよ?」

「……??」


王子いるよ?


王子と言われることに抵抗を感じていた筈のあたしは、あんなことを思いながらも自分の中で「王子=樹」と無意識のうちにも解釈していたみたいだった。


勢い良くあたしが振り返れば、


「…何してんの?」

凄く不機嫌そうな顔をした樹の顔があった。


でもあたしの頭の中は混乱。


だって…

先にもう行っちゃったと思ってたんだよ??



なのに、なのに。


「俺はお邪魔みたいだから、教室行こうかなぁ~

…あ!!
愛梨ちゃん?後でメールするからね」


と先輩は先輩でそんな墓穴を掘る様なセリフまで残して去ってくれたわけで。