「三か月の短期なら大丈夫よ。それに私ね、十二単を用意したの」

「ええ?」

「見てください。本当なんですから」

花菜に手を引かれて行った先では、衣がずらりと並んでいた。

「あらまぁ……」

腰を下した北の方は衣を一つひとつ手に取って、裏を返してみたり指で触ったりと細部に渡って確認する。

この母の裁縫は定評があり、花菜の目標でもあった。

その母がなんと言うか、花菜は固唾を呑んで感想を待つ。

やがて母はゆっくりと口を開いた。

「とてもよく出来ているわ、花菜。ため息がでるほど、見事な衣装よ。唐衣も洗ったのね、新品のように美しいわ、大変だったでしょう」