文には、期間を限定しない女官の他、正月を挟んで三月ほどの短期の女官を募集しているという旨と、試験の日時が書いてある。

「姫さま? いかがですか?」

心配そうに眉を下げて見上げる小鞠に、花菜はにんまりと笑顔で答えた。

「大丈夫よ、小鞠、私も試験を受けられるわ」

「よかったです! いよいよですね」

――目指せ、女官。

十二単と心の準備は出来ている。

残る問題はひとつ……。

「お母さまお願い! 私、 宮中へ行ってみたいの」

花菜は母に願い出た。

「でも花菜、宮中の女官たちは足の引っ張り合いで、イジメがあったりして酷いというわ」

予想通りである。母は反対してきた。