早速、奥の局に行って衣装箱を全部開けてみた。

幸いなことに黄色の唐衣がある。

唐衣に合わせて、使う色は白から黄色、そして段々に色が濃くなって橙、そして緑。

――素敵に違いないわ。

想像するだけで胸がときめいてくる。

――ポイントは腰つけて後ろに流すスカート、裳(も)ね。
これは透ける布のほうが美しいわね。
そして紐も重要だわ。もし女官募集がなくたって、お正月に着ればいいもの。

思えば、自分のおしゃれにこんなに真剣になったのはいつ以来だろう? もしかすると初めてかもしれない?

花菜は衣装の準備に夢中になった。

そして、せっかちなくらいの花菜の衣装の準備は、陽の目を見ることとなった。

『近々宮中で女官の臨時募集試験があると思う』
藤原蒼絃の言葉が、現実になったのである。