紙は人の形をしていた。
「式神だ。話しかければ、何かを返す。気が向けば、だけれど。話かけてご覧」
「え? あ、はい。こんばんは」
人型はすっと立ち上がって、頭をさげ、片手をあげて片手をさげた。
『こんばんは』
「お名前は?」
『なまえ? なまえ? かなひめ、かなひめ』
式神はクルクルと踊る。
「あなたのお名前よ」
『ユキムシ、ユキムシ』
「かわいい~雪虫って言うのね」
「ヘイセイの世は便利だったかもしれないが、式神はいなかったであろう」
「はい! いませんでした」
フッと蒼絃が笑う。
削ぎ落とされた端正な横顔を見つめながら、花菜はしみじみと思う。
――不思議な人。
瞳の色は濃い茶色に戻っている。
時折金色に光って見えるのは、光りの加減なのだろうか。
黄金の瞳をした時の彼は、そのままキラキラと輝きながら天にでも昇っていってしまいそうで、ふいに手を伸ばしたくなってしまう。
「式神だ。話しかければ、何かを返す。気が向けば、だけれど。話かけてご覧」
「え? あ、はい。こんばんは」
人型はすっと立ち上がって、頭をさげ、片手をあげて片手をさげた。
『こんばんは』
「お名前は?」
『なまえ? なまえ? かなひめ、かなひめ』
式神はクルクルと踊る。
「あなたのお名前よ」
『ユキムシ、ユキムシ』
「かわいい~雪虫って言うのね」
「ヘイセイの世は便利だったかもしれないが、式神はいなかったであろう」
「はい! いませんでした」
フッと蒼絃が笑う。
削ぎ落とされた端正な横顔を見つめながら、花菜はしみじみと思う。
――不思議な人。
瞳の色は濃い茶色に戻っている。
時折金色に光って見えるのは、光りの加減なのだろうか。
黄金の瞳をした時の彼は、そのままキラキラと輝きながら天にでも昇っていってしまいそうで、ふいに手を伸ばしたくなってしまう。