「この汁物も、雷に打たれた時に思い出したのか?」
キノコ汁を味わいながら、藤原蒼絃が聞く。
「はい。夢の中でもキノコはこの季節ならではの旬の味でした」
蒼絃はゆっくりと頷いた。
花菜が雷に打たれた時、少将と嗣爺が駆け込んだのは、陰陽師藤原蒼絃の邸だった。
引き籠りの少将も娘の一大事とあって、この時ばかりは全力で走ったのである。
その時以来、蒼絃は予告もなくふらりと現れるようになった。
花菜の体調を気遣ってくれている。
ろくなお礼も出来なかったというのに嫌な顔もせず、その後もこうして気に掛けてくれる蒼絃を、藤盛家では心から尊敬していた。
彼は若く美しい公達だ。
本当なら女性である花菜が、彼とこんなふうに向き合うことはあり得ないし、行儀が悪いことだとわかっている。
でも、意識を失って倒れた時には素肌も晒しているのだから、顔を隠したところで今更だろう。
そう思って彼には顔を隠さない。
キノコ汁を味わいながら、藤原蒼絃が聞く。
「はい。夢の中でもキノコはこの季節ならではの旬の味でした」
蒼絃はゆっくりと頷いた。
花菜が雷に打たれた時、少将と嗣爺が駆け込んだのは、陰陽師藤原蒼絃の邸だった。
引き籠りの少将も娘の一大事とあって、この時ばかりは全力で走ったのである。
その時以来、蒼絃は予告もなくふらりと現れるようになった。
花菜の体調を気遣ってくれている。
ろくなお礼も出来なかったというのに嫌な顔もせず、その後もこうして気に掛けてくれる蒼絃を、藤盛家では心から尊敬していた。
彼は若く美しい公達だ。
本当なら女性である花菜が、彼とこんなふうに向き合うことはあり得ないし、行儀が悪いことだとわかっている。
でも、意識を失って倒れた時には素肌も晒しているのだから、顔を隠したところで今更だろう。
そう思って彼には顔を隠さない。



