貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

――あの娘は、庶民ではない。

被り物を取った時に落ちた、長い髪がその証拠。

艶めく美しい髪だった。

『あの。せめてものお礼にどうぞ』
そう言って、この屯食を差し出しにっこりと頬を上げた。

あの明るい笑顔には見覚えがある。

化粧をしていないというのに、白く美しい肌……。


「どうかした?」

「いえ、この屯食をくれた娘は、物の怪かもしれないと思いましてね」

公達はそう言ってクスッと微笑みながら、最後のひと口をゆっくりと味わった。