「その年は天候が不安定で飢饉が起きていたから珍しいことではなかったが、皇族の彼は世の中で起きていることを何も知らなかった。誰も教えようとしないからね。正義感の強い彼には、そんな環境が耐えられないことだったのだろう」
それで彼は人々を助ける夜盗になったのですか?
でも、盗賊にならなくても政治で変えられるものではないのですか?
そんな花菜の心の疑問に答えるかのように、蒼絃は続ける。
「薬師や医師の増員と教育、治水事業、数々の法整備。彼のおかげで、少しずつだが人に優しい社会になってきている。でも目に見える効果は微かだ」
言いながら蒼絃は空を見上げた。
「夜空に浮かぶ月のように、孤独な男だ……」
――え?
「李悠さまは孤独なのですか? どうして? 協力してくださる方もいるのでしょう? お邸にも沢山の人がいるのでしょう?」
それには答えず、薄く笑った蒼絃は、
「でも、もう大丈夫だろう。太陽を見つけたのだから」と言って席を立った。
わかるような、わからないような言葉を残して蒼絃は行ってしまった。
残された花菜は桜を見つめながらポツリと呟いた。
「孤独……」
あの人はなにを思い、夜の京に立つのだろう。
この桜を見ても自分とは違うことを思うのだろうか?
私とは違うなのかを。
それで彼は人々を助ける夜盗になったのですか?
でも、盗賊にならなくても政治で変えられるものではないのですか?
そんな花菜の心の疑問に答えるかのように、蒼絃は続ける。
「薬師や医師の増員と教育、治水事業、数々の法整備。彼のおかげで、少しずつだが人に優しい社会になってきている。でも目に見える効果は微かだ」
言いながら蒼絃は空を見上げた。
「夜空に浮かぶ月のように、孤独な男だ……」
――え?
「李悠さまは孤独なのですか? どうして? 協力してくださる方もいるのでしょう? お邸にも沢山の人がいるのでしょう?」
それには答えず、薄く笑った蒼絃は、
「でも、もう大丈夫だろう。太陽を見つけたのだから」と言って席を立った。
わかるような、わからないような言葉を残して蒼絃は行ってしまった。
残された花菜は桜を見つめながらポツリと呟いた。
「孤独……」
あの人はなにを思い、夜の京に立つのだろう。
この桜を見ても自分とは違うことを思うのだろうか?
私とは違うなのかを。



