釣り殿の下では、紅に色づいた葉がひらりと池に落ち、輪を作り、消えていった。
美しくも儚い、一瞬の光景である。
楽瑛がふと瞼を上げた。
琵琶を弾く手をとめて、振り返った。
「ここの風呂はいい」
いかにもサッパリしたというように、まだ少し火照っている顔を扇で仰ぎながら腰を下したのは涼やかな目元をした美しい公達。
白い単衣の上に雲鶴文様の濃い紫の直衣。下は紫苑色の指貫には鳥襷文様が織り出されている。
その文様から公達の気位の高さが見てとれるお姿だ。
公達は気取る様子もなく、軽く直衣を気崩した様子で手にした包みと竹筒を置いた。
「それは?」
「貰い物ですよ。半分どうですか?」
竹の皮の包みを解くと、中にはふたつのおにぎりが並んでいる。
「屯食か?」
普通、屯食とはご飯を握った握り飯のことだが、彼らのよく知るそれとは見た目から少し違っている。
楽瑛が、不思議そうに首を傾げた。
美しくも儚い、一瞬の光景である。
楽瑛がふと瞼を上げた。
琵琶を弾く手をとめて、振り返った。
「ここの風呂はいい」
いかにもサッパリしたというように、まだ少し火照っている顔を扇で仰ぎながら腰を下したのは涼やかな目元をした美しい公達。
白い単衣の上に雲鶴文様の濃い紫の直衣。下は紫苑色の指貫には鳥襷文様が織り出されている。
その文様から公達の気位の高さが見てとれるお姿だ。
公達は気取る様子もなく、軽く直衣を気崩した様子で手にした包みと竹筒を置いた。
「それは?」
「貰い物ですよ。半分どうですか?」
竹の皮の包みを解くと、中にはふたつのおにぎりが並んでいる。
「屯食か?」
普通、屯食とはご飯を握った握り飯のことだが、彼らのよく知るそれとは見た目から少し違っている。
楽瑛が、不思議そうに首を傾げた。



