貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

そして約束より少し早く。
桜が咲く前に、花菜は邸に戻った。

泣いて無事を喜ぶ両親を前に、申し訳なさで胸が押しつぶされそうになり、
『ちゃんとお前の話を聞いてあげなかったから、狐が連れて行ってしまったんだね。お前がもしこの結婚が嫌なら、お断りしたっていいんだよ』
そう言って抱きしめられた時には、花菜は号泣するしかなかった。

――こんなことをしていると、本当に狐に怒られてしまうかもしれないわね。ごめんなさい……。
ぼんやりとそんなことを反省しながら、花菜は今、箱庭の桜を見ている。

いつの間にか季節は春を迎えた。
降り注ぐ日差しは暖かく、風も爽やかだ。

思えば長い冬だった。

数えてほんの三月の間のことなのに、一年くらい過ぎたような気さえする。

女官になったことも驚きだが、あの引きこもりの父がやる気を出してまた仕官することになり、遂には屋敷まで変わった。

あげくに結婚の話まで。

袖に目を落とせば、真新しく美しい衣がつやつやと紅く輝く。
全てが夢のようで、本当に狐につままれたような気分だった。

「姫さま、陰陽師の蒼絃さまがお見えになりましたよ」