二枚目の手紙――。
『紅の葉が舞っていたあの日、
君がくれた屯食には、私の未来を決めてしまう媚薬が入っていたのかもしれないな。
ずっと見守っていた。
いつしか見ているだけでは済まなくなった。
この気持ちはなんなのだろうと、幾度も自分に問いかけたよ。
花菜、
お前の未来を私にくれないか』
そして、
『残念なことに、私は歌を詠むのがとても苦手なんだ。自分の言葉で伝えられないことがもどかしい』という言葉とともに、有名な六歌仙の歌が添えてあった。
『 きみにより 思ひならひぬ世の中の 人はこれをや恋といふらむ 』
在原業平の歌である。
カイだった。
李悠さまが。
李悠さまがカイだった!
心の中で叫びながら、人の間を掻き分けると、検非違使に囲まれ繋がれている男が見えた。
「え?」
男は、確かに黒装束の男だが様子が違う。
――カイじゃない。
あの人は確か、宴で私を襲った男?
「落ちたものだな」
ふと後ろから、聞きなれた声がした。
ハッとして振り返ると
――あっ!
平民の格好をした本物の人鬼丸。
花菜を見下ろし、カイはフッと笑った。
『紅の葉が舞っていたあの日、
君がくれた屯食には、私の未来を決めてしまう媚薬が入っていたのかもしれないな。
ずっと見守っていた。
いつしか見ているだけでは済まなくなった。
この気持ちはなんなのだろうと、幾度も自分に問いかけたよ。
花菜、
お前の未来を私にくれないか』
そして、
『残念なことに、私は歌を詠むのがとても苦手なんだ。自分の言葉で伝えられないことがもどかしい』という言葉とともに、有名な六歌仙の歌が添えてあった。
『 きみにより 思ひならひぬ世の中の 人はこれをや恋といふらむ 』
在原業平の歌である。
カイだった。
李悠さまが。
李悠さまがカイだった!
心の中で叫びながら、人の間を掻き分けると、検非違使に囲まれ繋がれている男が見えた。
「え?」
男は、確かに黒装束の男だが様子が違う。
――カイじゃない。
あの人は確か、宴で私を襲った男?
「落ちたものだな」
ふと後ろから、聞きなれた声がした。
ハッとして振り返ると
――あっ!
平民の格好をした本物の人鬼丸。
花菜を見下ろし、カイはフッと笑った。



