家に帰ったら、いよいよ……、と思いにふけるうち、
――あ。
ある考えが花菜の脳裏に浮かんだ。
月君にも申し訳がないし、李悠さまにも申し訳ない。
罰当たりな自分は、猛省の日々を送る以外ないではないか。
――決めたわ。
家に帰ったら、私は尼になろう。
尼になって、人のために生きていこう!
ふいに思いついたことだけれども、考えれば考えるほど、これ以上ないほどいい考えだと思った。
藤盛家の近所に尼になっても寺ではなく邸にいる寡婦がいるが、尼になっただけで何も変わった様子はない。
友達にも変わらず会えるし、なんの心配もないはずだと調子の良いことも考えた。
誰かに自分の考えを披露してみようと思い立ち、仕事がひと段落したところで薪を片付けているトキのところに行った。
「ねぇねぇトキさん、尼になるってどう思う?」
「アマ? 海に潜るあの海女ですか?」
「違うわよ。髪を切って出家する尼よ」
トキは大きく目を見張る。
ポカンと口を開けたまましばらく声を失っていたが、「そんなに驚く?」と花菜に言われて気を取り戻したらしい。
トキはブルブルと左右に首を振った。
「ありえません。絶対にやめたほうがいいです」
――あ。
ある考えが花菜の脳裏に浮かんだ。
月君にも申し訳がないし、李悠さまにも申し訳ない。
罰当たりな自分は、猛省の日々を送る以外ないではないか。
――決めたわ。
家に帰ったら、私は尼になろう。
尼になって、人のために生きていこう!
ふいに思いついたことだけれども、考えれば考えるほど、これ以上ないほどいい考えだと思った。
藤盛家の近所に尼になっても寺ではなく邸にいる寡婦がいるが、尼になっただけで何も変わった様子はない。
友達にも変わらず会えるし、なんの心配もないはずだと調子の良いことも考えた。
誰かに自分の考えを披露してみようと思い立ち、仕事がひと段落したところで薪を片付けているトキのところに行った。
「ねぇねぇトキさん、尼になるってどう思う?」
「アマ? 海に潜るあの海女ですか?」
「違うわよ。髪を切って出家する尼よ」
トキは大きく目を見張る。
ポカンと口を開けたまましばらく声を失っていたが、「そんなに驚く?」と花菜に言われて気を取り戻したらしい。
トキはブルブルと左右に首を振った。
「ありえません。絶対にやめたほうがいいです」



