スミレの家に戻った花菜は、まずはじめに小鞠に手紙を書いた。
蒼絃の別荘に行って朱鳥と緑子に会い一日泊まったことと、そこで月君と話をしたこと。
『蒼絃さまは秘密を守ってくださっているから、月君も、私は物忌中だから藤盛の家からこっそり抜け出したと思っているわ。だからなにも問題にはならないはずよ』
そして、両親宛の手紙も書いた。
『心配かけてごめんなさい。あともう少しだけ、桜が咲いたら帰ります』
書き終えた手紙をスミレに託し、再びハナとして働きはじめた。
自分の持ち場に向かう途中、「お帰り」と笑顔を向けてくれる仲間の優しさが心に沁みる。
「ハナ、さっそくだけど外に干してある染物をとりこんでくれるかい?」
「はーい」
外に出ると、いつの間にやら西の空が色づき始めていた。
トキは相変わらず力仕事を担当しているようで、下屋の脇で薪を割っている。
ここにいるみんなが働き者で、その様子を見ていると嬉しくなってくる。それほど女性たちが生命力に溢れているということなのだろう。
負けじと気合をいれて布をとりこみながらふと、庭の桜に目がとまった。
見れば、膨らみ始めた蕾がほんのりと色づいている。
花が開くのはあと何日だろうか。五日? それとも三日?
蒼絃の別荘に行って朱鳥と緑子に会い一日泊まったことと、そこで月君と話をしたこと。
『蒼絃さまは秘密を守ってくださっているから、月君も、私は物忌中だから藤盛の家からこっそり抜け出したと思っているわ。だからなにも問題にはならないはずよ』
そして、両親宛の手紙も書いた。
『心配かけてごめんなさい。あともう少しだけ、桜が咲いたら帰ります』
書き終えた手紙をスミレに託し、再びハナとして働きはじめた。
自分の持ち場に向かう途中、「お帰り」と笑顔を向けてくれる仲間の優しさが心に沁みる。
「ハナ、さっそくだけど外に干してある染物をとりこんでくれるかい?」
「はーい」
外に出ると、いつの間にやら西の空が色づき始めていた。
トキは相変わらず力仕事を担当しているようで、下屋の脇で薪を割っている。
ここにいるみんなが働き者で、その様子を見ていると嬉しくなってくる。それほど女性たちが生命力に溢れているということなのだろう。
負けじと気合をいれて布をとりこみながらふと、庭の桜に目がとまった。
見れば、膨らみ始めた蕾がほんのりと色づいている。
花が開くのはあと何日だろうか。五日? それとも三日?



