貧乏姫でもいいですか？（+おまけ）

――月君。

なんという告白だろう。

そんなことを言われて胸を打たれない女が、この世にいるだろうか。
いるとしたら心のない物の怪に違いない。

「李悠との婚儀の話があることは知っている。知ってはいるが、この気持ちはそれでどうなるものではないのだ。君はどう思っている？　私のことが嫌いか？」

動揺を隠せずに花菜は唇を噛んだ。

――嫌いかって？　そんな聞き方はずるいわ。
嫌いなわけがないじゃない。

「李悠が好きなのか？」

それもずるいと思った。
言ってどうなるのだろう？
聞いてどうするというのだろう？

でも、正直答えたいと思った。
こんな風に誠実に打ち明けてくれた彼には、心から感謝を込めて本当のことを言おうと。
でなければ、あまりに申し訳がない。

コクリと息を呑み、
花菜はゆっくりと口を開いた。

「私は、お慕い申し上げている方が他にいるのです。李悠さまでも月君でもなく、別の」

――私はカイが好きなんです。