貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

「花菜、あの日なにがあったんだ? 結局肝心なことは何も聞いていなかったが、どうしてあの小屋にいて、どうやって邸に帰った? 狐なんて嘘なんだろう?」

「え? それは、あの、気がついたらあの、その――、私にもよくわかなくて」

どう答えていいのか。

カイを見つけ、カイを追ってカイに連れられて一緒に小屋に行った。でも、それを言うことはできない。
気の利いた嘘も浮かばず、ごめんなさいと、泣きたくなりながら心の中で頭を下げる。
ただただ申し訳なかった。

「あの、月君は、あの後どうされたのですか?」

「目が覚めたら君がいなかった。それだけだ」

また目を伏せてしばらく沈黙した碧月は、ふいに左右に首を振った。

「いいんだ。私が言いたいことはそんなことじゃない。花菜、聞いてくれ」

「――はい?」

「私はお前が恋しい。恋しくて仕方がない」