「どうしよう」
不安な声をあげたのは朱鳥だ。
「引き止めてしまったばっかりに。大丈夫かしら? 碧の月君は花菜を困らせたりしないわよね?」
その隣で緑子は、落ち着きを取り戻していた。
「大丈夫よ。むしろ花菜のためには良かったかましれないわ。碧の月君と会えなくなってしまう前に、ちゃんと話をしたほうがいいもの」
ふたりは御簾に張り付くようにして、箱庭を挟んだ向こう側を見つめている。
視線の先では、蒼絃をはさむようにして、碧月と花菜が向かい合って座っている。
なにか話をしているようだが、その声までは聞こえなかった。



