「陛下は李悠を東宮にすることを未だあきらめてはおらぬ。そのためにも李悠の正妻は、宮家か三公の深窓の姫でなければならぬということなのであろう」
三公とは、太政大臣、左大臣、右大臣をいう要するに実力者の後継人がある姫でなければならないということだ。
彼らの娘は、腰に裳をつけ女官や女房になって誰ぞに仕えるようなことはない。
自身は袿を着て、十二単の女性たちにかしずかれるのである。高貴な女性はそういうものだった。
十二単は華やかではあるが、仕える者のいわば制服にすぎない。
「それで、結局お許しになられたのか?」
「さあ、その後は知らぬが、いずれにしろ反対されたからといって、李悠が唯々諾々と従うとは思えぬ。反対は承知の上だろうし、したいようにするだろう」
いままで彼はそうしてきた。
東宮にならなかったことを含め、結局彼は自分の意思を貫いている。
「碧月。お前も同じだ」
蒼絃はチラリと振り返り薄く微笑んだ。
「力のある後継者を持った正室を迎え三公にならねば、弘徽殿の女御が中宮になることはできぬ」
三公とは、太政大臣、左大臣、右大臣をいう要するに実力者の後継人がある姫でなければならないということだ。
彼らの娘は、腰に裳をつけ女官や女房になって誰ぞに仕えるようなことはない。
自身は袿を着て、十二単の女性たちにかしずかれるのである。高貴な女性はそういうものだった。
十二単は華やかではあるが、仕える者のいわば制服にすぎない。
「それで、結局お許しになられたのか?」
「さあ、その後は知らぬが、いずれにしろ反対されたからといって、李悠が唯々諾々と従うとは思えぬ。反対は承知の上だろうし、したいようにするだろう」
いままで彼はそうしてきた。
東宮にならなかったことを含め、結局彼は自分の意思を貫いている。
「碧月。お前も同じだ」
蒼絃はチラリと振り返り薄く微笑んだ。
「力のある後継者を持った正室を迎え三公にならねば、弘徽殿の女御が中宮になることはできぬ」



