わからないのは彼女の家出の理由だ。
だが、表向きでは、花菜が行方をくらましたことを李悠は知らぬことになっている。
物忌によりしばらくの間お近づきになりませぬように、という藤盛家からの話もそのまま受け取った。
なので、その訳を聞くことは出来なかった。
そもそも結婚の儀式は、陰陽師の占いにより日取りを決めるということになっているので、すぐに結婚できるわけではない。
花菜がこのままひと月やふた月家出をしたまま結婚が延びたところで、大きな問題にはならないのだ。
問題は、理由である。
花菜姫はなぜ家出をしたのか?
今現在のトキの使命は花菜姫の安全の確保と、家出の理由を探ることにある。
「碧月が原因か?」
「いえ、月君については、戸惑っているご様子でした。いままで女御の弟君という目でしか見ていなかったと。今回の家出に全く関係がないとは言えないのかもしれませんが、少なくとも月君を想い慕っての家出ということなないと思います」
「では、私のことはなんと言ったのだ?」
言い難そうに口を閉ざしたトキは、視線を落としたが、
「構わぬ。言ったまま正直に教えてくれ」という主人の声に促され、意を決したように向き直った。
だが、表向きでは、花菜が行方をくらましたことを李悠は知らぬことになっている。
物忌によりしばらくの間お近づきになりませぬように、という藤盛家からの話もそのまま受け取った。
なので、その訳を聞くことは出来なかった。
そもそも結婚の儀式は、陰陽師の占いにより日取りを決めるということになっているので、すぐに結婚できるわけではない。
花菜がこのままひと月やふた月家出をしたまま結婚が延びたところで、大きな問題にはならないのだ。
問題は、理由である。
花菜姫はなぜ家出をしたのか?
今現在のトキの使命は花菜姫の安全の確保と、家出の理由を探ることにある。
「碧月が原因か?」
「いえ、月君については、戸惑っているご様子でした。いままで女御の弟君という目でしか見ていなかったと。今回の家出に全く関係がないとは言えないのかもしれませんが、少なくとも月君を想い慕っての家出ということなないと思います」
「では、私のことはなんと言ったのだ?」
言い難そうに口を閉ざしたトキは、視線を落としたが、
「構わぬ。言ったまま正直に教えてくれ」という主人の声に促され、意を決したように向き直った。



