「では、李悠さまの話は一旦置いておくとして、姫さまはどんな方となら結婚したいと思いますか? まず、そうですね。外見。見た目はどんな方がお好みなのです?」

「見た目……。うーん。そうね、背が高くて、男らしくて、日焼けした小麦色の肌が似合って、馬とか颯爽と走らせちゃうの」

たとえばカイのように……。

そう思った瞬間、ハッとした。

『お前は、夜盗の妻になる気はあるか?』

――カイ。

心の中の霧が、一瞬で晴れた。

――そうか。
私はカイが好きなんだ。

「随分と具体的ですね、やはり想う方がいるんじゃないですか」

「と、とにかく、愛されてもいない人と結婚して一生を籠の鳥として過ごすことは嫌なのです」

花菜は慌てたようにピシャリと言い切った。