「人鬼丸(ひとおにまる)かもしれませんな」と、嗣爺が言う。
「え!? 人鬼丸って、あの庶民に人気の盗賊?」
「途中で会った検非違使どもが、そのようなことを言っているのが聞こえました」
検非違使とは、いわば警察だ。
見かけた検非違使たちが人鬼丸を追っていたとすれば、さっきの男が人鬼丸だとしても不思議ではないかもしれない。
「本当に人鬼丸かもしれませんぞ。あの短い時間で姫の素性を怪しんだようですし、あの風貌、とても普通じゃない」
花菜は素性を隠す為に顔も手足も土で汚し、長い髪を帽子で隠している。
ここに来る途中すれ違った庶民も検非違使たちも、花菜に対して不審な視線を送っては来なかった。
『変わった笠を被っているな』と声を掛けられたことはあったが、それだけである。
でもあの男は、ほんの短い時間に、恐らく花菜の素性に不審を持ったのだ。
やはり只者ではない、ということなのか――。
「え!? 人鬼丸って、あの庶民に人気の盗賊?」
「途中で会った検非違使どもが、そのようなことを言っているのが聞こえました」
検非違使とは、いわば警察だ。
見かけた検非違使たちが人鬼丸を追っていたとすれば、さっきの男が人鬼丸だとしても不思議ではないかもしれない。
「本当に人鬼丸かもしれませんぞ。あの短い時間で姫の素性を怪しんだようですし、あの風貌、とても普通じゃない」
花菜は素性を隠す為に顔も手足も土で汚し、長い髪を帽子で隠している。
ここに来る途中すれ違った庶民も検非違使たちも、花菜に対して不審な視線を送っては来なかった。
『変わった笠を被っているな』と声を掛けられたことはあったが、それだけである。
でもあの男は、ほんの短い時間に、恐らく花菜の素性に不審を持ったのだ。
やはり只者ではない、ということなのか――。



