貧乏姫でもいいですか？（+おまけ）

スミレがトキを呼んできた。

「この子はね、そこらの男より強いから安心しな」
「トキです。よろしくお願いします」

「こ、こちらこそ。なんだかすみません。じゃ着替えてきますね」

朱鳥を訪ねるとなれば、さすがに粗末な庶民の服装では行けない。
花菜は家から遊びに来たという体で向かうので、垂れ布の付いた市女笠を被り、一応それなりの格好をした。

でもトキはそうではない。
傘は被っているが垂れ布はつけていないし、髪を後ろで一つに縛っている。

「では行きましょう」
「はい」

歳は多分同じくらいだろうかと花菜は思った。

トキはスミレのところにいる他の女性たちとは、なんとなく雰囲気が違う。
庶民にしては言葉づかいも丁寧なようだし、どことなく品のある目元をしていた。

垂れ布が視線を隠してくれることもあって、歩きながらついつい隣を歩くトキを観察してしまう。

彼女はすらりと背が高い。
小麦色の肌をした彼女は、姿勢も凛々しく美しい。

千年後の世界ならトップモデルになって、パリコレでランウェイを歩くような美人だ。
彼女は結婚しているのだろうか？と、ふと思った。