陽が暮れれば仕事はおしまい、あとは寝るだけである。
灯台もあるが、火を灯す油は貴重品だ。
なので夕暮れ前に夕食を取る。
みんなで一緒にとる食事時は、とても賑やかだった。
厳しいことを言っていたが、スミレは女たちを働かせて私腹を肥やしているわけではないようだった。
自ら先頭を切って働いているし、贅沢な衣を身に着けているわけでもなく、みんなと同じ物を食べている。
老婆に聞いた話によれば、商人だった夫を亡くし寡婦になって涙に暮れる彼女を襲ったのは生活苦だったという。
必死に働いて今がある彼女だからこそ、自立を願い同じ女性たちの苦しみがわかるに違いなかった。
ふいに老婆言った。
「あんた、貴族の姫さんなんだろう?」
「え?」
花菜が返事に困っていると、老婆が顔をクシャクシャにして笑った。
「その髪を見ればわかるさ。それに、その白い肌。あたしらとは全然違う。だけど、ここに来たからには、あんたも悩みがあるんだろう? みんな同じだよ。色々あったからここに流れて来たのさ」
その言葉は、心を軽くしてくれた。
様々な悩みを乗り越えたその深い皺は笑顔の形になって、花菜の心を優しく包んだ。
灯台もあるが、火を灯す油は貴重品だ。
なので夕暮れ前に夕食を取る。
みんなで一緒にとる食事時は、とても賑やかだった。
厳しいことを言っていたが、スミレは女たちを働かせて私腹を肥やしているわけではないようだった。
自ら先頭を切って働いているし、贅沢な衣を身に着けているわけでもなく、みんなと同じ物を食べている。
老婆に聞いた話によれば、商人だった夫を亡くし寡婦になって涙に暮れる彼女を襲ったのは生活苦だったという。
必死に働いて今がある彼女だからこそ、自立を願い同じ女性たちの苦しみがわかるに違いなかった。
ふいに老婆言った。
「あんた、貴族の姫さんなんだろう?」
「え?」
花菜が返事に困っていると、老婆が顔をクシャクシャにして笑った。
「その髪を見ればわかるさ。それに、その白い肌。あたしらとは全然違う。だけど、ここに来たからには、あんたも悩みがあるんだろう? みんな同じだよ。色々あったからここに流れて来たのさ」
その言葉は、心を軽くしてくれた。
様々な悩みを乗り越えたその深い皺は笑顔の形になって、花菜の心を優しく包んだ。



