貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

年齢は色々で、乳飲み子を背負った女や背中の曲がった老女もいたりと様々だ。

「みんな、身寄りをなくしたり途方に暮れていた女たちだ。うちは慈善事業じゃないから、働き者だけを雇っているんだよ。あんたもせいぜいがんばっとくれ」

「はい」

スミレはパンパンと手を叩いた。
「はーい、ちょっとみんなそのまま聞いておくれ」

スミレが声を掛けると、機織りや裁縫をしていた女性たちが顔を上げた。

「今日からしばらくここで働くことになったハナだ」
「よろしくお願いします」

女達はニコニコと笑みを浮かべながら、挨拶の代わりに頷いた。

「ユリ婆、ハナに仕事を教えてやっておくれ」

「はいよ」と答えた女は恐らく最年長だろう。
背中が曲がっている老婆だった。

小走りに向かった花菜に、老婆はヒョイと布を投げる。

「とりあえず、これを縫い上げてもらおうかね」
「はい!」

「裁縫道具はそこにあるからね。くれぐれも針を無くさないように気を付けるんだよ」
「わかりました!」

早速花菜は与えられた仕事に集中した。
宮中で扱う布とは質が違うけれども、することはさほど変わらない。黙々と縫物に集中していると、自分が今どこにいるのか忘れてしまいそうになる。

今の花菜にはそれがありがたかった。