貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

なんと頼もしいことか。

わかりましたと立ち上がった小鞠の背中は、女童ではなく立派な女房である。

いつの間にこんなに大人の女性らしくなったのだろう?
守るべき者であった少女が、大きく成長したことにうれしくもあり、ほんの少し寂しい気もしたが、それでも今はただ素直に、小鞠に頼ろうと花菜は思った。


さあ、事は急げと小鞠はその日のうちに東市へ出かけた。
そして早速スミレと話をつけてきたのである。

「準備は整いました。早速明日スミレさんが東市の帰りに寄ってくれます」

「すごいわ、もう決まったの?」

このひと月、花菜が宮中でがんばっている間に、小鞠もがんばっていた。
沢山の苦難を乗り越えて、北の方を支え続けてきたのである。
それらが自然と自信になり、小鞠は強く頷く。

「スミレさんのところなら安心ですよ、姫さま」

「ありがとう、小鞠」

「いいえ、姫さまの幸せをお守りするのが、小鞠の幸せですから」