貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

火桶の炭を追加しながら、心配そうに小鞠が聞いた。

「姫さまは、李悠さまと碧の月君と、どちらの方がお好きなのですか?」

「え? なによ、急に。それにどちらって、どちらもないわ。おふたりとも雲の上の方だもの。考えたこともない」

刺繍は完全にあきらめたのだろう。
持っていた布を脇に置き、花菜は力なく脇息に寄りかかった。

「私はてっきり姫さまは碧の月君と想いを通じているものだとばかり」

「え? どうしてそう思ったの?」

「だって、とても心配してくださって。姫さまを助け出してくれたじゃないですか。それに宮中でも助けていただいたのですよね?」

「それは……そうだけど」

「小鞠はてっきり、姫さまは月君のことがお好きで、それでそのようにお元気がないのかと思ったのです」

「違うのよ。そうじゃないんだけど、ただ、どうしても気が重くて……」

憂鬱の種がなんなのか、はっきりとは見えない。
手放しで喜ぶには、あまりにも、あまりにも雲の上の人過ぎるからだろうか?