こんなふうに御簾越しではなく、寒くても光を直接感じながら庭を眺めたかった。
――一昨日までは、自由だったのに。
気兼ねなく邸の庭にも出られたのに、もうそれができない。
たった一日を境にして、花菜を取り巻く環境はガラリと変わってしまったのだ。
いまの彼女は、高貴な方との婚儀を控える大切な身なのである。
我が家ではあっても間違っても人の目に晒されることがないよう、深窓の姫として直接陽の光を浴びることなど許されなかった。
ただじっと隠れるように過ごすこんな日がいつまで続くのか。
それはまだわからない。
正式な日取りは追って連絡があることになっている。
決めるのは陰陽師の占いによるので、ひと月後なのか、もっともっと先なのか? 花菜にも見当がつかなかった。
「普通の貴族の姫って、こんな風に奥に籠って過ごすのよね。私には信じられないわ。運動不足で病気になっちゃう」
そうぼやきながら、花菜はハァと長い息を吐く。
これで何度目のため息だろう?
――一昨日までは、自由だったのに。
気兼ねなく邸の庭にも出られたのに、もうそれができない。
たった一日を境にして、花菜を取り巻く環境はガラリと変わってしまったのだ。
いまの彼女は、高貴な方との婚儀を控える大切な身なのである。
我が家ではあっても間違っても人の目に晒されることがないよう、深窓の姫として直接陽の光を浴びることなど許されなかった。
ただじっと隠れるように過ごすこんな日がいつまで続くのか。
それはまだわからない。
正式な日取りは追って連絡があることになっている。
決めるのは陰陽師の占いによるので、ひと月後なのか、もっともっと先なのか? 花菜にも見当がつかなかった。
「普通の貴族の姫って、こんな風に奥に籠って過ごすのよね。私には信じられないわ。運動不足で病気になっちゃう」
そうぼやきながら、花菜はハァと長い息を吐く。
これで何度目のため息だろう?



