そんなことを思いながら、胸元を見下ろすと、着物の合わせから甘い香りを漂わせる和紙がチラリと見えた。
昨日求婚者源李悠からもらった文(手紙)である。
少なくとも夢ではないということだ。
あきらめたようにため息をつき、花菜はまた外に目をやった。
ここは自分の局。
周りは襖や壁代に囲まれているし、火桶では赤く灯る炭が充分な熱を発しているのでとても暖かい。
もうすぐ春とはいえ、一歩ここを出れば空気は冷え冷えとしている。
冬の寒さを忘れ、ぬくぬくと暖かく過ごせることはとても幸せなことだ。
しもやけや、あかぎれを作っていた去年の今頃と比べれば、今の環境のありがたみは充分わかっている。
わかってはいるが、それはあくまでも自由があってこそのことだと、花菜は思うのだった。
外に出て、冷え切った体を中で温める。
だからこそ幸せを感じるのであって、ずっと温室にいたいわけじゃない。
これではまるで籠の鳥ではないか。
局という牢に入った囚人にでもなった気分である。
昨日求婚者源李悠からもらった文(手紙)である。
少なくとも夢ではないということだ。
あきらめたようにため息をつき、花菜はまた外に目をやった。
ここは自分の局。
周りは襖や壁代に囲まれているし、火桶では赤く灯る炭が充分な熱を発しているのでとても暖かい。
もうすぐ春とはいえ、一歩ここを出れば空気は冷え冷えとしている。
冬の寒さを忘れ、ぬくぬくと暖かく過ごせることはとても幸せなことだ。
しもやけや、あかぎれを作っていた去年の今頃と比べれば、今の環境のありがたみは充分わかっている。
わかってはいるが、それはあくまでも自由があってこそのことだと、花菜は思うのだった。
外に出て、冷え切った体を中で温める。
だからこそ幸せを感じるのであって、ずっと温室にいたいわけじゃない。
これではまるで籠の鳥ではないか。
局という牢に入った囚人にでもなった気分である。



