李悠は「ノスリ」と配下の者を呼んだ。
「頭中将に茶を」その後、続けて、『時光に伝えろ。碧月の後を追え』と小さく言った。
向き直った李悠は、にっこりと微笑む。
「結婚の話なら本当だ。そういえばお前もいい話があるんじゃないのか?」
頭中将は肩をすくめる。
「高嶺に咲く花は、なかなか折れぬか」
「ああ。霧を使って隠れるのが上手くてね」
そう言って、頭中将は溜め息をついた。
その頃、花菜姫は。
やりかけの刺繍を手にしたまま、邸の奥から御簾越しに見える庭園をぼんやりと見つめていた。
昨日のことは現実なのだろうか?
夢か幻か、まさか物の怪の仕業とか?
物語から抜け出してきたような美貌の王子が迎えに来た。
王子の面差しはどことなく“ある人”に似ている気がしたが、真面目に考えるにはあまりにも突拍子がない。
それにしても、困ったなぁ……。
「頭中将に茶を」その後、続けて、『時光に伝えろ。碧月の後を追え』と小さく言った。
向き直った李悠は、にっこりと微笑む。
「結婚の話なら本当だ。そういえばお前もいい話があるんじゃないのか?」
頭中将は肩をすくめる。
「高嶺に咲く花は、なかなか折れぬか」
「ああ。霧を使って隠れるのが上手くてね」
そう言って、頭中将は溜め息をついた。
その頃、花菜姫は。
やりかけの刺繍を手にしたまま、邸の奥から御簾越しに見える庭園をぼんやりと見つめていた。
昨日のことは現実なのだろうか?
夢か幻か、まさか物の怪の仕業とか?
物語から抜け出してきたような美貌の王子が迎えに来た。
王子の面差しはどことなく“ある人”に似ている気がしたが、真面目に考えるにはあまりにも突拍子がない。
それにしても、困ったなぁ……。



