「嗣爺、今の聞こえた?」
「誰か来るかもしれませんな」
巨大な黒い影を睨みながら嗣爺が大きく息を吸った時、山から下ってくる通りから馬が現れた。
漆黒の大きな馬だ。
そしてその馬には、弓矢を背負った男が跨っている。
大海で浮木に出会うとはこのことだ。
男は、仁王立ちの老人と女の二人連れのただならぬ様子に気付いたようで、手綱を引いて馬をとめた。
チラリと、茂みを見て納得したらしい。
熊を見つけた男は、馬上から弓をつがえておもむろに矢を向ける。
敏感に危険を感じたのだろう。
熊は慌てたように山の中に入っていった。
「ありがとうございます! 助かりましたっ」
花菜と嗣爺のふたりは深々と頭をさげた。
男は馬に乗ったまま、あらためてのふたりを見下ろす。
「誰か来るかもしれませんな」
巨大な黒い影を睨みながら嗣爺が大きく息を吸った時、山から下ってくる通りから馬が現れた。
漆黒の大きな馬だ。
そしてその馬には、弓矢を背負った男が跨っている。
大海で浮木に出会うとはこのことだ。
男は、仁王立ちの老人と女の二人連れのただならぬ様子に気付いたようで、手綱を引いて馬をとめた。
チラリと、茂みを見て納得したらしい。
熊を見つけた男は、馬上から弓をつがえておもむろに矢を向ける。
敏感に危険を感じたのだろう。
熊は慌てたように山の中に入っていった。
「ありがとうございます! 助かりましたっ」
花菜と嗣爺のふたりは深々と頭をさげた。
男は馬に乗ったまま、あらためてのふたりを見下ろす。



