※※※
――次の日。
源李悠が、花菜姫を妻に迎えるらしい。
噂は瞬く間に広がり、宮中に激震が走った。
その話を聞いて、誰よりも大きな衝撃を受けたのは恐らく彼、碧の月君だろう。
彼は姉である弘徽殿の女御からちょうど聞いたところだった。
「――嘘だろう?」
「本当よ。私の女房の話はなくなるが、おめでたいことだから許しておあげと、帝がおっしゃって。昨日、花菜の屋敷にご挨拶に伺ったと聞いたわ」
話が途中だというのに、碧月は席を立った。
「え? あなた、もう行くの?」
女御の声を背中で聞きながしながら彼が向かったのは、李悠の元である。
とにかく確かめなければならない。
――いったいなんの冗談だ。結婚だって?
花菜姫をそれほど想っていたというのか? 妻に迎えたいほど?
寝耳に水とはこのことだ。
いままで李悠がそんな様子を見せたことは多分なかった。
確かに花菜を庇う発言はあったが、それは蒼絃や頭中将が彼女を庇う様子となんら違いはなかったはずである。
それとも気がつかなかっただけなのか。
とにかく確かめなければと、碧月は足早に李悠が普段いるはずの殿上の間へと向かった。
――次の日。
源李悠が、花菜姫を妻に迎えるらしい。
噂は瞬く間に広がり、宮中に激震が走った。
その話を聞いて、誰よりも大きな衝撃を受けたのは恐らく彼、碧の月君だろう。
彼は姉である弘徽殿の女御からちょうど聞いたところだった。
「――嘘だろう?」
「本当よ。私の女房の話はなくなるが、おめでたいことだから許しておあげと、帝がおっしゃって。昨日、花菜の屋敷にご挨拶に伺ったと聞いたわ」
話が途中だというのに、碧月は席を立った。
「え? あなた、もう行くの?」
女御の声を背中で聞きながしながら彼が向かったのは、李悠の元である。
とにかく確かめなければならない。
――いったいなんの冗談だ。結婚だって?
花菜姫をそれほど想っていたというのか? 妻に迎えたいほど?
寝耳に水とはこのことだ。
いままで李悠がそんな様子を見せたことは多分なかった。
確かに花菜を庇う発言はあったが、それは蒼絃や頭中将が彼女を庇う様子となんら違いはなかったはずである。
それとも気がつかなかっただけなのか。
とにかく確かめなければと、碧月は足早に李悠が普段いるはずの殿上の間へと向かった。



