貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

「はい!」
あちこちから、ドタドタと人の行き交う音がする。

慌ただしく迎える準備をするうちに、ついにその時が来た。

「お客さまがお着きになりました!」

赤い夕焼けから西陽が射し込む門に、牛車が見えた。

その様子を花菜は小鞠とともに御簾に隠れて見ている。

「立派な牛車でございますね」

「ほんと、うちの門が通れて良かったわ。引っ越す前の邸では通れなかったわね。そもそも通すお部屋もなかったけれど」

「でも姫さま、李悠さま一度いらしているのですよ? 御上の名代として」

「え?! あ、そうか! そうだったわね」

すっかり忘れていたが、支度金やら李悠さまが届けてくださったと父から聞いていた。
今のこの邸も紹介していただいたと。

「小鞠はその時李悠さまをご覧になったのでしょう?」

「それが残念ですが、李悠さまがいらした時は、私はお出かけしていてお会いできなかったのです」

「それにしても、あのボロ家に、そんな高貴な方がねぇ」

前の屋敷は継ぎ接ぎだらけの濡れ縁に、雨漏りだらけの部屋の床もあちこち傷んでいた。
一体全体どこに李悠さまをお迎えしたのだろう?

まさか庭に並んでお迎えしたとか?
笑っている場合ではないが、そんなことが可笑しくなり、花菜はついクスッと笑った。