貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)

頬に触れたのは……。
唇?
『またな。すぐ会いにくるよ』


「姫さま、大丈夫でございますか?」
目を開けて、最初に見えたのは小鞠の顔だった。

「あれ?」

起き上がってグルリと見渡せば、色鮮やかな几帳に黒く塗られた厨子。その上には和紙と筆がある。
随分と綺麗にはなったが、そこは見紛うことなき我が家の花菜の局(部屋)だった。

「どうしてここに?」

「昨夜、カイ様が姫さまを連れて来てくださったんですよ」

「え?」

「大丈夫です、私しか知りませんから。皆さんには、いつの間にか姫さまが帰って来ていたということにさせて頂いてます。カイ様には狐の仕業にするようにと言われましたので、その通りに」

聞けば、眠れずにいた小鞠が、微かな音に気づき妻戸を開けるとカイの声を聞いたということだった。

『姫を連れてきた。そこの濡れ縁にいる。眠り薬でぐっすりと眠っているが、無事だ。心配しなくていい』

言われた通り濡れ縁に出ると、そこに花菜が横たわっていたという。